EDUCATION 教育活動

先輩の声

臨床研究医 古川 柚紀 YUKI FURUKAWA 2021年入局(2019年卒)
名市大、血液・腫瘍内科を選んだ理由は?
私は三重大学の出身で、学生時代は血液内科志望ではありませんでしたが、初期研修先の豊川市民病院で名市大の血液腫瘍内科の先生に出会い、「こんな医師に私もなりたい」と憧れを抱いたのがきっかけです。名市大血液内科の先生方は皆さん、患者さん個人に真摯に向き合い、最善の治療を常に考え熱意を持って診療されていて、これぞ内科医の真骨頂だと思いました。血液内科というと難しいイメージがあるかもしれませんが、エビデンスが確立されていない領域が多いからこそ、自身が論文ベースで調べた治療が功を奏したり、今後の研究テーマが身近に隠れていたりと、やりがいのある科だと思います。
名市大、血液・腫瘍内科の良いところは?
名市大血液・腫瘍内科の先生方は、皆さん目標にしたい先生方ばかりです。医師としてキャリアを積んでいく過程で、身近に目標とする指導医の先生がいたり、共に頑張る同年代がいたりするということは非常に大きなアドバンテージになると思います。当医局は現在若い世代が中心となっており、臨床では若手医師がメインで診療を行っています。希望者には国内外の留学の機会があったり、若手のうちから臨床研究の立案に関わらせていただくことができたりと、できることは自分次第で大きく広がっていきます。時折他の医局の血液内科医と話す機会がありますが、若いうちから臨床も研究も携わることができているのは名市大の大きな魅力だと感じています。一方で若い世代が多いからこそ、育休の取得や子育て中の時短勤務のサポートなど、お互いにサポートしてやれているので、個人個人に合わせて働きやすい環境が整っていると思います。
仕事のやりがいを感じるときは?
やはり患者さんが笑顔で退院してくださる時が一番やりがいを感じます。あとは指導医からほめてもらった時です(笑)。
現在の環境はいかがですか?
忙しくないと言えば嘘になりますが、私自身は自ら臨床も研究も手を出して忙しくしてしまっていますので、思惑通り充実した日々を送っています。
研究の面白さは?
血液内科医として臨床診療をしていると、すぐにエビデンスが未確立の領域にぶつかって、この患者さんをよくするにはどうすればいいんだろう、という臨床疑問が生まれます。その疑問が研究テーマとなり、実際にデータを集めて結果を解析することで、次の患者さんの診療に活きていくという経験を一度すると、研究の魅力にはまっていくと思います。
今後の目標は?
私自身の目標としては、今後は同種造血幹細胞移植を国内留学で学んで来たいと考えていて、ゆくゆくは自分が指導する立場として名市大血液・腫瘍内科に還元していきたいと思っています。
その他、入局希望者に向けてメッセージをお願いします。
名市大血液・腫瘍内科に来れば、必ず「この先生に付いていきたい!」という先生に出会えると思います。ぜひ、あなたも私たちの同志となりませんか?その時までに私も成長して、あなたにお会いできるのをお待ちしています!
大学院生 丸茂 義晃 YOSHIAKI MARUMO 2016年入局

まずは簡単に自己紹介させていただきます。ぼくは名古屋生まれですが、育ちは高校まで埼玉県です。一風変わった県立の男子高校でしたが、ここで口酸っぱく「どんな小さな歯車でもいいから、社会の中で『この人がいないと困る』と言われる男になれ」と言われ続け、医師を目指したのを覚えています。高校卒業後に名古屋市立大学への入学を期に名古屋へ戻ってきました。大学卒業後は名古屋記念病院で初期研修をして、研修後はすぐに大学へ帰局し、造血幹細胞移植を含めて血液学の臨床の基礎を作りました。その後は関連施設で臨床経験を積み、大学院入学のため卒後9年目に大学へ再度帰局し現在に至ります。

この間、本当にさまざまな出会いがありました。

ぼくを血液・腫瘍学に引き入れてくださったのは学生時代に教室主任だった先生で、当時医学部5年生だったぼくに標準治療の大切さとそれを確立することの難しさを教えてくださり、その中でどんどん進歩していく血液学の魅力に惹かれました。当時から教室にいらっしゃった先生方はそれぞれが臨床ならびに基礎的な研究にとても積極的で、この姿勢にも強く感化されました。そのとき指導いただいていた先生に、「君が診療の中で困難に感じたことは、世界のどこかに必ず同じことを悩んでいるドクターがいる。その経験を発表という形で分かち合うことは間接的にその患者も救うことになる」とお教えいただきました。それ以降、初期研修まで含めてたくさんの発表・報告をする機会に恵まれました。さらに勉強し続けて、目の前の患者さんにできる限りのことをしたいという思いを強めました。

血液・腫瘍内科へ入局してからは、とにかく患者さんから話を聞いて身体所見をとって、患者さんから学ぶように努めました。また、患者さんにこちらの考えや思いを伝えるよう努力しました。ぼくはなるべく患者さんとその家族の人生に寄り添って、一緒に疾患と戦っていく姿勢で診療するようにしています。最初に疾患の話をするときには辛い思いに共感し、治療が効いたときには喜びを分かち合います。しかし同時に、今の標準治療や医学的な限界を感じずにはいられませんでした。

現在大学院では、臨床で経験したCAR-T細胞療法をはじめとする分子標的治療に関する研究を進めています。これこそぼくなりの「社会の歯車」であると感じています。研究は仮説を立てて行いますが、予想通りの結果が得られないこともあります。そのときにそれが何故なのか考え続ける姿勢は別の結果を生むと考えています。こういった経験はすごく刺激的ですし、研究で得られた知見を報告することで世界のどこかの役に立てたらそれはとても嬉しいことです。

大学院に興味のある方もそうでない方もいらっしゃると思いますが、それぞれの持つ個性をよく評価し、活かしてくれる医局だと思います。ぜひ一度見学にいらっしゃってください!

Staff Scientist、Prof Keisuke Ito’s Lab、
Cell Biology/Stem Cell Institute、
Albert Einstein College of Medicine, US
戸谷 治仁 Haruhito Totani 2010年入局
名市大、血液・腫瘍内科を選んだ理由は?
造血器腫瘍をはじめとする疾患が、基礎的な生命科学の知識と最先端の臨床医学の双方を必要とする領域であると感じたからです。診断から治療に至るまで、分子生物学的な背景や新しい薬剤開発とのつながりが深く、臨床と研究が常に結び付いている点に大きな魅力を覚えました。また、患者さんの多くが長期にわたる治療を必要とし、その過程で病状の変化に応じた一貫した診療を提供できることは、内科医としてのやりがいを強く実感させるものでした。
現在の環境はいかがですか?
多様な国籍や背景を持つ同僚・研究者が集まっており、互いに刺激を受けながら日々を過ごしています。研究と直接関係のない日常会話からも他文化を知ることができ、それが新しい視点を得るきっかけになっています。臨床医時代のように雑多な業務に追われることなく、自分のテーマに腰を据えて取り組める環境は非常にありがたいです。また、シンガポール時代から現在に至るまで研究テーマは変化してきましたが、大きな一連の流れを保ちながら研究を続けられていることも大きな恵みだと感じています。
研究の面白さは?

研究の面白さは、やはり新しい発見に出会う瞬間にあります。何かを見つけたとき、一時ではありますが、その事実を世界で自分しか知らないという感覚は、結果の大小にかかわらず刺激的です。一方で、実験の多くは思うようには進まず、予想とは全く異なる結果が得られることも少なくありません。良い意味でも悪い意味でも戸惑いが伴いますが、結果をどう解釈し次につなげるかを考える過程こそが研究の醍醐味だと思います。

留学することの意義は?

留学の意義は、「井の中の蛙」にならないことにあります。日本の医療界、とりわけ医局という限られた環境にいると、それが当然だと思い込みやすいものです。しかし外に出てみると、その考え方や価値観が必ずしも普遍ではないことに気付かされます。異なる環境に身を置くことで、自分の立ち位置を見直し、新しい視点を取り入れられるのは大きな財産です。これまで二つの国で留学を経験する機会に恵まれ、研究面での刺激に加え、制度や文化を比較することで日本の恵まれた点や改善すべき点を改めて認識することができました。コロナ禍という特殊な状況下で海外生活を送れたのも得難い経験でした。

日本では血液腫瘍を中心に臨床や大学院研究を行っていましたが、留学先で現在の研究テーマや、指導者の先生方と出会えたことは大きな転機でした。いくつかの偶然が重ならなければ、このテーマや先生方、同僚に巡り合うことはなかったかもしれません。この「出会い」も、留学の醍醐味の一つだと感じています。

また、臨床医が研究に踏み込んだときに痛感するのは、臨床で培った知識や経験は研究の場ではごくわずかな強みにすぎず、太刀打ちできない局面が多いということです。海外では言葉の壁もあり決して有利ではありませんが、それでも研究の質や姿勢で相手を納得させられるかどうかが問われます。振り返れば、大学院時代に研究姿勢を学ぶことができた経験が、今の大きな支えになっていると実感しています。

今後の目標は?
今後の目標は、自分の強みを意識しながら、まだ世の中にない問いを立て、その答えを探していくことです。既存の枠組みにとどまらず、自分なりに新しい道を模索していきたいと思っています。その過程で、たとえ小さなことでも新しい発見につながればと願っています。
その他、入局希望者に向けてメッセージをお願いします。
血液・腫瘍内科は決して簡単な分野ではありませんが、臨床と研究の両方に挑戦できるやりがいがあります。最初は幅広く経験しながら、自分の関心に合うことを少しずつ見つけていければ、それが自然と将来につながっていくと思います。

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