EDUCATION 教育活動

学生・初期研修医向けのプログラム
医師・科学者としての基礎を養う

独自の講義プログラム:縦断、横断、実践

当科の提供する講義ユニットでは、造血器疾患の理解に必要な基本的知識や集学的治療の重要性を理解するため、独自の方式を取り入れることで知識の定着をはかります。「縦断的講義(疾患ごとの理解)」、「横断的講義(学問的視点からの理解)」、「アクティブラーニング(実践)」で構成されます。

まず、「縦断的学習(疾患ごとの理解)」として、代表的な造血器疾患について、それぞれの病態と診断、治療法を具体的に学びます。特に頻度の多い疾患(悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群・急性白血病、形質細胞性腫瘍)、並びに小児に生じる疾患については重点的に学びます。

これらを一通り学習した後、「横断的学習(学問的視点からの理解)」として、それまでに学んだ疾患について、別の視点(免疫学、ゲノム学、血液発生学、幹細胞学など)からの理解を試みます。これを通して、知識の定着と横断的思考を身に着けるとともに、最新の治療法や診断技術についても学ぶ機会を得ます。

その後、「アクティブラーニング(知識の実践)」では、実際の症例検討を通して、問題点を明確にし、それについて論理的なアセスメントをして鑑別診断を挙げ、そしてそれを検証して診断を確定していく手法を学びます。グループごとのスモールグループディスカッションを取り入れて、密に議論をします。

独自の臨床実習プログラム:クリティカルシンキング能力の育成

血液・腫瘍内科学における臨床実習では、どのように患者さんに接し、どのように診断のアプローチを行い、どのように治療方針を立てていくのかを、実際に医療チームの一員となって学びます。特に、多くの悪性疾患を対象として化学療法を行う血液・腫瘍内科においては、いかに重要な臨床症候を見落とすことなく、どのように全身管理を行い、どのように総合的なマネージメントを行うのかが、ユニークかつ重要な学習項目です。また、問題点を明確にし、複数の鑑別診断を挙げながらアセスメントを行う能力は、どの科に進んでも必要な能力であり、そのような臨床的クリティカルシンキングの手法を身に着けることを目指します。

全科ローテ期間には、特に発熱・貧血・リンパ節腫脹などの重要な臨床症候を見落とすことなく、どのように全身管理を行い、どのように総合的なマネージメントを行うのかについて学びます。その後の選択実習期間については、画一的にスケジュールを定めることはせず、一人ひとりの学生の個性や希望に沿って目標設定を行い、フレキシブルにプログラムをアレンジしていきます。卒業や国家試験に必要な知識の習得を目標とするのではなく、卒後に医師として実践できる能力の育成を目指します。

当科の提供する学生・研修医向けイベント:キャリアの各段階に合わせた学びと体験

当科では、医学生・研修医のみなさんに向けて、学びと体験の機会を幅広く用意しています。基礎から実践、研究や学会発表まで、一歩先のキャリアにつながるプログラムです。

  • さきがけ実習

    医学部4、5年生で、臨床実習開始前に血液・腫瘍内科の雰囲気を見てみたい方、また、学外からの病院見学を目的とした方向けの1日体験実習です。お気軽にご参加ください。

  • じゃがいもマルク会(ハンズオンワークショップ)

    骨髄穿刺、その後の顕微鏡による形態学的診断など、血液腫瘍内科の手技を模擬的に体験できる人気企画です。毎年多くの学生の方が参加しています。懇親会もあります。

  • NCU-Active Seminar of Hematology(NCU-ASH)

    血液・腫瘍学を幅広く学ぶための勉強会です。ミニレクチャー、症候に基づく症例検討のほか、教室員の経験談も聞くことができます。毎年多くの学生や研修医の方が参加しています。懇親会もあります。

  • Beyond the Resident Project(BRJ)

    名古屋市立大学主催の、医学部生向けの勉強会です。症候に基づく症例検討を行います。当科からも提供しています。

  • 内科学会ことはじめ

    学生・研修医を対象に、全国規模の日本内科学会で発表できる機会です。当科からも毎年複数の学生・研修医の方に発表いただいています。優秀演題賞の受賞や論文発表に至った方もいます。

  • 研修病院マッチング相談

    進路やマッチングに関する個別相談を 随時受付 しています。

「まず体験してみたい」という方から、研究やキャリア形成を深めたい方まで、幅広くサポートしています。お気軽にお問い合わせください!

お問い合わせ

NCU-ASHの様子

独自の大学院プログラム:探求心と科学的能力の育成

当教室では、血液疾患について研究してみたい方を対象に、教室員・学外問わず大学院への進学を奨励しています。血液疾患の病態と治療を理解するためには、生理学、免疫学、発生学、ゲノム学、腫瘍生物学、分子生物学、幹細胞学など、様々な学問的分野に関しての横断的・総合的な視点が必要です。これまでの血液疾患診療の歴史においても、遺伝子・染色体異常の発見、移植療法の開発、チロシンキナーゼ阻害剤の開発、免疫療法の開発など、数多くのブレークスルーやパラダイムシフトを繰り返してきました。そのような新たな発見を自らの研究によって導き、そして、実臨床において患者さんに還元することを目指して、研究者としての能力の育成に努めます。

当教室では、様々な学問領域で研究経験を積んだ指導教員が多数在籍し、また、国内留学のためのネットワークも積極的に活用しています。まず、各大学院生の興味とキャリア目標に合わせて研究対象とアプローチを定め、指導教員との徹底的なブレインストーミングのもとに、具体的なプロジェクトの詳細を計画します。得られた予備データについては、頻繁に行われる個別・グループミーティングを通してディスカッションを行い、技術的なトラブルシューティングを行います。その成果については、日本血液学会や日本癌学会のほか、アメリカ血液学会やヨーロッパ血液学会での発表を目指し、トップジャーナルでの論文化を目指します。具体的な研究内容については、研究欄もご覧ください。

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