COLLABORATION コラボレーション

コラボレーションの重視
診療・研究の質を高めるために

「ハブ」として知の触媒と架け橋を目指して

当教室は、学内の診療科間、学部間、国内、国外のさまざまな組織・グループとの積極的なコラボレーションを通して、診療と研究の質を最大限に高めることを目指しています。異なる専門性や文化的背景を持つパートナーと意見を交わすことで、新たな発想や研究テーマが生まれ、診療現場にも還元されます。こうした交流は、若手医師や大学院生にとっても大きな刺激となり、次世代を担う人材育成にもつながっています。

当教室のコラボレーションは単なる「共同作業」ではなく、知識・経験・人材を共有し、新たな価値を創造するための「知の架け橋」です。当教室が「ハブ」となる形で、地域から世界まで広がるネットワークを活かし、より良い医療と革新的な研究の実現を目指しています。

学内の他診療科、他学部とのコラボレーション

  • 皮膚リンパ腫に対する多面的アプローチ

    皮膚の悪性リンパ腫は診断に苦慮することが多く、臨床経過や皮膚所見と病理所見の総合的判断が不可欠です。治療方針も皮膚科による光線療法・ベキサロテン内服から、血液・腫瘍内科による化学療法や造血幹細胞移植まで多岐にわたり、患者さんごとの最適化が求められます。現在、当大学の皮膚科・病理診断科・血液腫瘍内科が連携し、毎月の合同カンファレンスを通して症例検討を行うとともに、最新知見の共有や研究テーマの発掘も行い、診療の質と将来展望の双方を高めています。臨床医学だけでなく、免疫学、ゲノム学、分子生物学の多面的なアプローチを試みています。

  • 自己免疫疾患治療中に発症するリンパ増殖性疾患(LPD)への対応

    自己免疫疾患の治療に用いられる免疫抑制・免疫調整薬は、一部の患者でLPDと呼ばれる病態を引き起こすことがあります。中には薬剤中止で自然寛解する例もありますが、急速進行し早期の抗がん剤導入が必要となる症例も少なくありません。その機序の多くは不明であり、予後予測に関して更なる知見の蓄積が望まれます。当院では、膠原病内科・整形外科・皮膚科・消化器内科などの関連診療科と密に連携し、LPDが疑われた時点で速やかに血液・腫瘍内科に相談できる体制を整備しています。これにより、迅速な診断・治療介入を可能とするとともに、後方・前方視的な解析を通して、患者予後の改善を目指しています。

  • 多発性骨髄腫に対する新規治療薬の開発

    多発性骨髄腫は難治性の造血器腫瘍であり、過去20年余りに多数の薬剤が登場し、その予後は著明に改善しました。しかし、更なる患者予後の向上のためには、新しいタイプの薬剤の開発が望まれます。当科では、当大学の強みである医学部と薬学部との連携を通して、多発性骨髄腫に対する新規薬剤の開発・検証を積極的に行っています。特に、腫瘍細胞と非腫瘍細胞間の相互作用、並びに免疫原性に注目して、それらを調節するような薬剤の検証を行っています。

国内の施設との連携

  • 協力施設との臨床研究推進

    県内にある当科の主要な関連施設(名古屋市立大学・西部医療センター、東部医療センター、名古屋記念病院、海南病院)、並びに愛知県がんセンターと密な共同研究体制を構築しています。日々の臨床における興味や後方視的研究を通して、どの施設からも自由にアイデア・仮説を出し合うことができ、それを大学が「ハブ」として機能する形で、多施設間の前向き研究へと発展させる好循環が形成されています。例えば、多発性骨髄腫におけるフレイル研究では、世界に向けて新たなる指標の提唱を行いました。

  • 国内臨床研究組織への積極的参画

    当教室はJCOGリンパ腫グループ、JALSG、名古屋BMTグループなど、複数の主要な国内大規模臨床研究ネットワークに参加しています。特に、JCOGリンパ腫グループの臨床試験では、これまでに研究代表や事務局を務めてきた経緯があります。また、前方視的な多施設共同観察研究(多発性骨髄腫のレジストリ、高齢DLBCLの高齢者機能評価の意義に関する検討、ATLレジストリ、濾胞性リンパ腫のレジストリ) に参画し、本邦発の貴重なデータ構築に貢献しています。若手医師もこれらの活動を通じて臨床研究の企画立案や運営を学び、全国規模で活躍できる人材へと成長しています。

  • 国内の学術機関とのコラボレーション

    当教室では、これまでに国立がん研究センター、京都大学、慶応大学、熊本大学、名古屋大学、愛知県がんセンターをはじめ、数多くの国内学術機関とのコラボレーションを通して、研究の新たなる展開をはかってきました。例えば、多発性骨髄腫についてのゲノム解析、急性白血病に対する新規免疫療法的アプローチの開発など、多分野的な研究を行っています。また、臨床スタッフや大学院生がそれらへの国内留学を通して、新しい視点を視野を拡げるとともに、それらを次の研究へつなげる好循環が出来ています。

海外とのコラボレーション

  • 国際臨床研究組織への積極的参加

    当教室は、複数の国際臨床研究組織に積極的に参加し、重要な役割を果たしています。例えば、アジアにおける多発性骨髄腫の研究グループである、Asian Myeloma Networkの一員として国際共同研究に参画し、アジア諸国間での診療水準向上に貢献しています。

  • 基礎研究における海外とのコラボレーション

    当教室では、米国を中心に複数の研究留学実績を有し、現在もそのネットワークを通して、各国との基礎研究におけるコラボレーションを継続しています。例えば、T細胞性急性リンパ性白血病や多発性骨髄腫を対象として、ハーバード大学やシンガポール国立大学と多数の研究論文を発表しており、欧米・アジアの研究拠点と密に連携しています。また、これらのコラボレーションを通して、世界的視野での研究・教育・人材交流を積極的に推進しています。

  • 海外研究者を招いての定期的なセミナーの開催

    当教室では、海外の高名ながん研究者を招いてのスペシャルセミナーを定期的に開催しています。これらを通して、世界におけるCutting-edge scienceに触れる機会を得るとともに、情報交換を通して新たなコラボレーションに繋がることを望んでいます。

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