分子標的研究グループ

本研究グループは、主に造血器腫瘍の病態に関わる遺伝子異常の機能解明および、分子標的治療薬剤の感受性および獲得耐性に関わる因子を明らかにすることを目標としています。造血器腫瘍の中でも特にリンパ系腫瘍である多発性骨髄腫の病態解明と薬剤の耐性に重点を置き研究を進めています。

① 骨髄腫における遺伝子異常の機能と病態との関わり

多発性骨髄腫は複数の遺伝子異常の蓄積により発症・進展する形質細胞性腫瘍です。 MGUSという前がん状態の発生、症状を有する骨髄腫へと進展していく各過程で、免疫グロブリン領域転座(主に14q32転座)によるCCND 群や大MAF群,FGFR3,MMSET などの遺伝子異常の活性化が関与しています。また、治療薬に耐性を獲得していく過程においても、さらなる遺伝子異常が蓄積しているものと考えられています。

これら遺伝子異常の中でも我々のグループは、予後の悪い遺伝子異常である大MAF群(c-MAF, MAFB)に着目し、それらを有する骨髄腫症例の臨床病態の解明と、効果的な治療法の確立を目指しています。

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② 分子標的薬の作用機序・耐性機序の解明研究

骨髄腫に対する治療薬として、プロテアソーム阻害剤薬や免疫調整薬が現在幅広く使用されております。これら分子標的薬の作用機序、薬剤耐性機序の解明、それを克服する新規の分子標的の探索を行っています。

これまでの成果として、プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブの作用機序において小胞体ストレス応答の関与が重要なプロセスであること、薬剤耐性化機序にプロテアソームの変異が関与することなどを報告しています。

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