教授ご挨拶

飯田 真介
教授
血液・腫瘍内科 部長

飯田 真介
Shinsuke Iida

患者さんから学び、患者さんに還元する医療の実践

2014年5月1日付けで名古屋市立大学大学院医学研究科に血液・腫瘍内科学分野が開設され、初代教授を仰せつかりました。私ども血液・腫瘍内科の源流は旧第二内科の第二代教授であられた故滝川清治先生(昭和42年〜昭和53年)に遡ります。数々の諸先輩が血液内科の灯を絶やさぬように引き継がれ、私の入局当時の血液内科のチーフは御供泰治講師(現・愛知きわみ看護短期大学学長)、その後、仁田正和助教授(現・愛知医科大学名誉教授)へと引き継がれ、第四代教授の上田龍三先生(平成7年〜平成22年:現・愛知医科大学特任教授、名古屋市立大学名誉教授)の時代に臨床・研究ともに開花したと言えます。その後、旧第二内科の流れを継いだ腫瘍・免疫内科学分野の第五代教授として着任された新実彰男教授(平成24年〜:現・呼吸器・免疫アレルギー内科学教授)のご厚意を賜り、血液・腫瘍内科学分野が内科の一分野として独立させていただくことになりました。現在、名古屋市立大学内科学講座の6分野は診療科の壁を超えた協力体制を整えており、そのお陰で発展途上にある私どもの分野も運営できているものと感謝しております。

私どもの診療科では、造血器腫瘍を中心とした血液疾患患者さんが9割、それ以外の稀少がん患者さんが1割を占めています。白血病、リンパ腫、骨髄腫の何れも高齢者の増加により年々増加傾向にあります。我が国における造血器腫瘍の推計罹患患者数が年間約4万人(がん患者さんの18人に1人)、死亡者数は年間約2万人ですので凡そ半数の患者さんが治癒もしくは長期生存されていることがわかります。したがって、正確な診断を行わせていただいた上で、可能な限り治癒や疾患との長期共存を目指した積極的な治療を行っています。また、「がん難民をつくらない」を合い言葉に、小松弘和化学療法部長の下で肉腫や原発不明がん患者さんの診療も担当しています。若手医師の教育においては、患者さんやそのご家族と同じ目線に立って考えることの出来る医師、そして日々勉強しながら粘り強く診療することの出来る医師の育成を心がけています。当科の診療の特徴は、医師主導臨床試験を積極的に実施していること、そして数多くの新薬の開発治験に携わっていることです。他に有効な治療法がないことを宣告された難治性患者さんを対象に、新しい作用機序の分子標的薬や抗体薬を開発しています。それらの薬剤が効果を発揮した時の患者さんの笑顔は、私どもにとっても大変な喜びです。これらの臨床試験や造血幹細胞移植の実施のために、看護師、検査技師、薬剤師、CRCの皆様方の絶大なご協力をいただきチーム医療が実践できていることに感謝しております。

加えて、大学の使命としての研究も重視しています。私どもの分野では、普段の診療のなかで疑問に感じたこと、現代医学では解決できないと感じたことを研究課題にして、Translational Researchや臨床研究を通して解決を試みようとする情熱的な若手研究者を支援しています。生涯にわたって没頭できる研究課題が見つかる医師が一人でも多く育ってくれるよう期待しています。内科全体での症例検討会やCPC、そして教室内ではJournal ClubやResearch Meetingを定期的に開催し、病理学教室と共同でClinico-Pathological Conferenceを開催しています。

私たちは、患者さんを全人的に診ることの出来る医師を育成するとともに、「患者さんから学び、患者さんに還元する医療の実践」をモットーに、日々教育、診療、そして研究に精進してゆく所存です。

略歴

学歴及び職歴

1987年
名古屋市立大学医学部卒業、名古屋市立大学病院臨床研修
1989年
静岡済生会総合病院血液内科
1991年
愛知県がんセンター病院 レジデント
1993年
愛知県がんセンター病院血液化学療法部 医長
1994年
米国、コロンビア大学病理学教室
1997年
名古屋市立大学医学部第二内科 助手
2001年
名古屋市立大学医学部第二内科 講師
2007年
名古屋市立大学大学院医学研究科腫瘍・免疫内科学 准教授
2008年
名古屋市立大学病院血液・膠原病内科 部長
2014年
名古屋市立大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学 教授
名古屋市立大学病院血液・腫瘍内科 部長

所属学会

  • 日本内科学会、日本血液学会(代議員)、日本癌学会(評議員)、日本臨床腫瘍学会(評議員)
  • 日本骨髄腫学会(評議員)、日本臨床薬理学会、日本造血細胞移植学会、米国血液学会、欧州血液学会