
教室主任
鈴木 智貴
Tomotaka Suzuki
このたび、血液・腫瘍内科学教室の教室主任を拝命いたしました鈴木智貴です。当教室は2014年5月に誕生し、飯田真介教授のもと、血液・腫瘍内科学の発展に向けて、教室員一同、日々挑戦を続けています。
大学病院には、診療・研究・教育という大きな使命があります。当教室では特にこの3つの領域に力を入れ、当教室に関わる全ての医師が、それぞれのステージに応じて継続して成長し続けることができる環境を整えています。
① 診療:最先端の知識と実践力を磨く
医学の進歩は驚くべき速さで進んでおり、標準治療も数年ごとに変わります。また、近年では認定を取得した施設でしか実施できない治療も増えつつあります。当科では、同種造血幹細胞移植や、最新の免疫療法(二重特異性抗体やCAR-T細胞療法) を実施できる環境を整え、これらの治療が必要な患者さんを他施設からも積極的に受け入れることで、当地区の高度医療の一翼を担っています。
また、患者さんに最善の医療を提供するためには、ガイドラインを学ぶだけでなく、臨床疑問に向き合い、最新の知見を常にアップデートする姿勢が欠かせません。若手医師や看護師を対象とした勉強会、多職種によるカンファレンスを定期的に開催しています。また、血液学会や臨床腫瘍学会などの学会参加も積極的に推奨し、学び続ける文化を大切にしています。
② 研究:患者さんに還元する革新的アプローチ
「現代医学でも治せない病気をどう克服するか、既存の治療より有効・安全な治療を行えないか」—— これは私たちが日々向き合う課題です。
当教室では、患者さんの同意のもとで臨床検体を用いた基礎研究や、臨床試験を進め、新しい治療法の開発に取り組んでいます。特に、難治性の血液がんであるT細胞リンパ腫や多発性骨髄腫の研究では国内トップレベルの成果を誇り、診療ガイドラインの策定にも貢献しています。近年は国際学会での発表を積極的に目指し、研究を積み重ねています。
また、複数の臨床試験グループに所属し、積極的に臨床研究に貢献することで、新たな治療戦略を生み出し、患者さんへと還元することを目指しています。
③ 教育:世界に羽ばたく医師を育てる
血液・腫瘍内科は「全身を診る内科」と言われ、総合的な診療力が求められる分野です。当教室では、「患者さんや、医療スタッフから頼られる医師」として成長できるよう、日々の診療・研究・教育を通じて、実践的なスキルを養っていきます。一方で、血液・腫瘍内科は「大変そう」という印象を持つ方も多いかもしれません。しかし、ここで得られる知識と経験は、どの診療科に進んでも必ず役に立ちます。
たとえば——
- 抗がん剤の使い方を極める
- 感染症治療のスペシャリストになる
- 合併症マネジメントのスキルを磨く
- 治らない病気であっても患者さんに寄り添って苦痛を最大限取り除くスキルを磨く
など。血液・腫瘍内科で鍛えた総合力は一生の宝になります。
さらに、医療の未来を考えるうえで、単なる知識だけでなく、不確実な状況に柔軟に対応する力、周囲と円滑にコミュニケーションをとる力も不可欠です。関連施設や、協力施設間での人材の異動や合同の勉強会等を通じて、医師としての底力の向上を目指します。
血液・腫瘍内科学に興味のある医学生・若手医師の皆さん、一緒に学び、挑戦し、未来の医療を切り拓いていきませんか?少しでも興味があれば、ぜひご連絡ください。皆さんとともに成長できることを楽しみにしています!
2025年4月1日 記